みなさま、おはようございます。6代目です。
加茂定ブログにお越しいただきありがとうございます。
パソコンを修理に出して1週間が過ぎました。
代替えのパソコンが、サクサク動いてくれます
お陰様で「応答なし」地獄からも解放されました。
外付けのハードディスクに保存してある写真へのアクセスも早いです!
2月に納品しましたお寺様用の仏具写真も見れるようになりました。
2ヶ月経ってしまいましたが、時間を巻き戻してお話ししたいと思います。
当時の模様は、下記ブログをご覧ください。
品目が複数有りますので、数回に分けて書きます。
今回は、ブログのタイトルにしています「磬台」と「見台」の修理です。
「磬台」は「ケイダイ」と読みます。
「見台」は「ケンダイ」と読みます。
<磬台 修理前>
磬台は、お経を読まれる時にカンカーーンと鳴らされる仏具です。
※「ゴーーーン」と鳴る「おりん」とは違う鳴物仏具です。
修理させていただくにあたり、彫刻部分は今回の注目ポイントとなります。
<磬台 上段彫刻 修理前①-1>
<磬台 上段彫刻 修理前①-2>
<磬台 下段彫刻 修理前②-1>
<磬台 下段彫刻 修理前②-2>
上の写真で、①-1と①-2 ②-1と②-2
それぞれ同じように見えますが、違いがあるのがお判りでしょうか?
顔の向きが違います!簡単ですね(笑)
ちなみに、①は龍 ②は鳳凰になります。
①-1と②-1は左向き ①-2と②-2は右向きです。
何が言いたいかと言いますと、両面仕上げになっているということです!
「オーーーーーーーッ!」
という歓声が聞こえるのは、私だけでしょうか??(汗)
こういうのって、「手の込んだお仕事!」って思うんです
どういうことかと言いますと、下の写真をご覧ください。
余談を挟みますが、写真の日付が2003年になっています
撮影したのが17年前ですので、私は20代です!!
名古屋での修業時代に私が仕立てた磬台です
※修理ではなく新品、彫刻は彩色仕上げでした。
反対側から見ますと、
鳳凰や水鳥、蓮華の花は柄となる彫刻がされていません。
さらには、色は付いていますが、模様が入っていません。
つまり、こちらの彫刻は片面仕上げということです。
しかし、お預かりした磬台は両側に彫刻がされています。
磬台の彫刻は、片面仕上げで作られることが多いので、
お預かりしました磬台は「手の込んだお仕事!」って思うんです^^
そして、この「手の込んだ彫刻」を修理するのに、とても大事な作業がございます。
<磬台 彫刻 修理前 右向き>
<磬台 彫刻 修理前 左向き>
修理の方法の1つとして、
「現状の上から新しい漆を塗る、その上に金箔を押す」
という作業法があります。
この手法はリーズナブルにできるという利点はありますが、
既存の漆と金箔の上から塗り重ねてしまうので、層がかさみ、彫刻の凹凸が埋まってしまいます。
彫刻の凹凸が埋まってしまうということは、
彫刻の表情が無くなってしまうということです。
龍であれば、「睨みつけるような怖い目」や「硬そうな鱗」が消えてしまいます。
そこで
そこで
そこで~~~~
<磬台 彫刻 洗浄後 右向き>
<磬台 彫刻 洗浄後 左向き>
木地の状態に戻しました
彫刻を水に浸し、コツコツコツコツめくりました。
冷たい水にも負けずに、作業してくださった職人さんに感謝です!
こうすることで塗り膨れの心配もなくなり、
彫刻の起伏をそのまま活かした形で仕上げることが可能になります。
また、洗い落としたことで新発見もありました!
金箔の下から彩色の跡がでてきました。
何を意味しているかと言いますと、
この磬台が初めて作られた時の彫刻は彩色仕上げであったということです。
そして、彫刻に金箔が押されているのは、一度修理を行ったことを意味します。
なんか、歴史を感じれますよねぇ^^
前回の修理で、彩色の上に漆と金箔が施されていました。
彫刻の層の順番を言いますと、
木地→彩色(最初の層)→漆と金箔(前回修理の層)
すでに2つの層ができています。
もし、最初の層と前回修理の層を剥がさなければ、
彫刻の起伏がさらに埋まり、のっぺらぼうな見た目になってしまいます
<修理前>
<修理後>
彫刻部分の仕上がりを、先にご覧ください。
特に「鱗」部分に注目してください。
クッキリと鱗が浮かび上がり、ハッキリ見えるようになりました♬
修理後の写真が、眩しくて見にくいですね(笑)
「修理前」の状態から漆を塗り、金箔を押しますと、
さらに起伏が埋まってしまい、鱗が消えていたかもしれませんね
「木地洗浄」という工程で、彫刻の立体感を再び活かすことがかないます
空想話になってしまいますが、
この彫刻を彫られた当時の職人さんにも喜んでいただけると考えます
なぜなら、時空を超えて彫刻が蘇るのですから!
大袈裟ですかね(笑)
再び長きに渡りお使いいただくために、
そして綺麗な仕上がりとなるように彫刻を素っ裸にいたしました!
上でもお話いたしましたが、「彫刻部分が見せ場です」とはこういう意味でした。
※ご予算に応じて、ここまでズル剥けにしないこともあります。
この洗浄作業を行っていたのは、昨年の11月末か12月初旬であったと記憶しています。
洗浄後の彫刻をお寺様にも見ていただきました
滅多に見られる機会でもありませんので、お寺様には写真も撮っていただけましたよ
<磬台 彫刻 木地修理後 右向き>
<磬台 彫刻 木地修理後 左向き>
上の写真をご覧ください。
木地まで戻したことで、
彫刻の一部が欠けていることがよりハッキリと分かりました。
龍の牙や鳳凰の羽、渦雲の欠落部分を足しています。
白さが際立つ箇所が補完場所です。
<木地をパーツごとに解体>
残りのパーツもすべて解体し、
<外した金具一式>
金具もすべて外します。
<木地調整の仮組 点検>
完成時を想像して、組んではバラし、組んではバラしの繰返しで、
確認しながら土台となる木地を調整します。
朱塗りの柱や足部分等はペーパーを当て、磨いております。
お預かり時よりも朱塗りが白っぽくなっていると思います。
これは、新しい漆が密着して固まるようにするための準備作業です。
この後、漆塗り→
<漆塗り>
金箔押し→金具メッキ直し→金具打ちと進み、
完成です!
彫刻は塗り膨れもなく、凹凸がハッキリ出ております!
龍と鳳凰は開眼し、柱には文字書き致しました!
「開眼」とは、この場合では「目を入れる」ことです。
次の写真で分かりますが、どちら側にも「目」が入っています。
両面仕上げならではの工程です♬
見た目は新品と見紛うほどのピカピカな仕上がりです
改築された新しい本堂内では、相乗効果でさらに輝いて見えますね^^
次に、見台です。
<見台 修理前 前>
<見台 修理前 後>
こちらの見台は、各檀家様の亡くなられた方々の戒名を書き記した過去帳を載せる台になります。
磬台と同じ要領で修理するのですが、見台は金具を新調させていただきました。
コピー用紙を貼り付けているのですが、金具を新調する場所です。
※実際に作る金具と同寸法ではありません。
正面はもちろんのこと、背面にも金具を打ちます!
後ほど仕上がりをご覧いただきますが、
装いも新たにゴージャスに変身してくれます♬
過去帳を載せる台には文字が彫られています。
「昭和6年(1931年)」にお寺に寄進されたことが分かります。
今から89年前のことです。
修理の際には、この文字を改めて書き直します。
そして、磬台の柱に書いた文字と同じものも書き足します。
完成です!
磬台と同じ様に、見台も眩く輝いています。
修理することで、見違えるようになりましたね^^
まずは、第1弾のご報告でした。
続きの第2弾もご期待ください。
今回ご紹介しましたお仏具のご紹介です。
【修理品】
(名称) 磬台
(大きさ)柱内巾425ミリ ワラビ巾685ミリ 総丈855ミリ
※「ワラビ」は龍の彫刻の両サイドにあるクルンとした部分です。
【修理品】
(名称) 見台
(大きさ)板巾635ミリ 板丈335ミリ 総丈600ミリ
修理のことでご質問やご不明な点などございましたらば、
些細なことでもかまいませんので何なりとお問い合わせください。
しっかりとサポートさせていただきます!
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さて、先週末から続いていました雨も上がり、暖かい春日和となってきました。
町中を車で走っていますと、桜も綺麗に咲いていますね。
やっぱり、晴れの桜は綺麗です!
4月に入りました。
もう1年の1/4が過ぎました。
早いですね
私の住む京都にも「外出自粛要請」がでました。
「早くおさまれ~~~!」
ただただ、そう思うばかりです!!
みなさま、「いのちだいじに」安全にお過ごしくださいね^^
合掌
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