みなさま、おはようございます。6代目です。
加茂定ブログにお越しいただきありがとうございます。
2019年の12月にお取引先のお寺様から、
お位牌修理のご依頼をいただきました。
内容は、お寺を開創されたご住職様のお位牌修理でした。
ブログタイトルのサブタイトルに「御開山」と記載しておりますが、
初代ご住職様を指しています。
本題に入る前に、「開山」について説明しますね。
「開山」とは、読んだ字のごとく「山を開く」という意味になりますが、
「お寺を開く」という意味には見えませんよね
その昔、山間部にお寺が創られることに由来し、
お寺を最初に創建された住職を総じて「開山」と呼ばれるようになりました。
「開山」・・・「かいさん」と読みます。
「御開山」・・・「ごかいさん」と読みます。
「御」・・・尊敬の意を表す接頭語です。
そして、もう1つお話ししたいことがございます
お位牌の修理は、「宗祖日蓮大聖人御降誕800年慶讃大法要」に併せて営まれる、
御開山の四百年遠忌を記念してのプロジェクト事業でした。
「遠忌」・・・「おんき」と読みます。
結論から申し上げますと、
新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止にされました。
当初は「来年に延期」と聞いておりましたが、
先日お伺いした時に規模を縮小して開催されることを知りました。
そして先週の7月12日(日)13時半より法要を執り行われました!
私も参列させていただきました!!
密にならないよう間隔を空けて、営まれておられます。
このブログは下書きで残しておいて、
来年の法要時までストックするつもりでいました
しかし、とってもタイムリーな話題に変わりましたので、
ブログでご紹介させていただきます。
本当は、先週にアップする予定でしたが、パソコンが故障しましたので1週遅れました
パソコンの故障については、前回ブログをご覧ください。
私の中では、まだトップニュースなんです!
それでは、これより本題に移ります!
以下に、お預かりした状態の写真を掲載してあります。
<修理前 ①>
扉が付いたお位牌です。
<修理前 ②>
扉の内側には両サイドに彩色が施され、
御開山のご住職様のお名前が彫られています。
<修理前 ③>
背面には、没年月日が彫られています。
修理前③の写真をご覧ください。
落とされたのが原因かなぁと想像しますが、屋根の木地が欠落しています。
<修理前 ④>
屋根部分の拡大写真です。
斜めアングルから見ていただくと、分かりやすいかと思います。
人間の頭で例えれば、後頭部がありません
とっても痛そうです
屋根の欠落のように目に見えて確認できる欠落箇所もあれば、そうでないパーツもございます。
木地の状態を細かく把握するためにも、お位牌を解体してまいります。
解体後、木地の状態を確認し、必要な木地修理を行います。
職人さんの素晴らしい手技の見せどころです!
最初に、お位牌を分解し、洗浄→木地修理です。
洗浄とは、表面の金箔と漆をすべて落とし木地の状態まで戻すことです。
<洗浄後 屋根部分木地修理>
上の写真は、屋根部分の洗浄→木地修理を終えた写真です。
屋根の後部分に新しい木地を取付けました。
木の色が違いますので、修理箇所がハッキリしてますね♬
見事に回復いたしました!
<屋根部分クローズアップ>
上の写真のⒶとⒷの赤矢印部分は、
Ⓒの赤矢印部分を差し込むための「ホゾ穴」になります。
穴が壊れていますので、お預かり時は屋根が不安定でした。
木地を取付けたことで「ホゾ穴」ができⒹ、
Ⓒ札板の赤矢印部分を差し込むことが可能になりました。
これでグッと差し込めますので、グラグラの心配はありません
<洗浄後 札板部分木地修理>
洗浄したことで新しい発見もありました。
漆と金箔に隠れていたので分かりませんでしたが、
札板木地の表と裏部分に「割れ」が入っていました。
「札板」・・・「ふだいた」と読みます。
札板は文字が入る場所になります。
<洗浄後 台座部分木地修理>
台座部分も同様に割れが生じていました。
どちらにも新しい木地を埋めて、木地修理完了です!
屋根と同様に、木の色が異なる部分が新しく埋めた部分です。
以前の修理ブログでお話しいたしましたが、木地まで戻すことには理由があります。
お寺様用「磬台」「見台」の修理をご下命いただきました!~彫刻が注目ポイント♬~
修理方法の1つとして、
「現状の上から新しい漆を塗る、その上に金箔を押す」
というものがあります。
この方法は既存の漆と金箔の上から塗り重ねてしまうので、
層がかさみ、彫刻の凹凸が埋まってしまいます。
彫刻の凹凸が埋まってしまうということは、
彫刻の表情が無くなってしまうということです。
お位牌は、彫刻されている箇所が特に多いので、
木地まで戻すことは塗り膨れ防止に効果てきめんです!
仕上がり時に分かりますが、彫刻の起伏がハッキリでます!!
<木地修理前後の比較写真>
木地修理の話を締めくくる前に、もう1つお付き合いください。
上の写真は、木地修理の前と後の写真です。
大きく変わった箇所があります。
札板の前に柱が入りました!!
※金具を外していますので、扉は写真に写っていません。
<升部分>
お預かりした時に、升部分に赤矢印部分を発見しました。
「升」・・・「ます」と読みます。
<受け部分>
上にも下にも、穴の形跡が見られます。
<柱>
当初は、升から受け部分に渡り、柱が通っていたと考えられます。
ご住職様にご報告しましたが、新大陸発見ばりに衝撃を受けられました
<新調 柱>
極力元通りに復元されたい御意向を持たれていましたので、
柱を新調いたしました。
<新調 礎石>
柱の付け根には、礎石を作りました。
「礎石」・・・「そせき」と読みます。
格好良いですね♬
木地修理が出来上がった時点で、お寺様にご確認いただきました。
修理が進んでいきますと、木地修理した形跡が見えなくなります。
そうなる前に、見ていただく機会をいただけました!
ご夫婦揃ってご覧いただきましたよ
ご住職様は、写真を何枚も撮られていました♬
2月の東京出張に行く前日にご確認いただきましたので、物凄く印象に残っています。
こういう機会は頻繁にあることではありませんので、
ご覧になっていただけて良かったです♬
隠し撮りしてすみません。
解体~洗浄~木地修理までの纏め写真です。
扉には、漆が残っております。
黒くなっていますよね
洗浄時に水に浸すのですが、「木地が捻じれる」ことを懸念し、
新しい漆が付着しやすいようにペーパーをかけて終わりとしました。
これで木地修理までが終わりました。
一気に木地修理のお話をいたしましたが、
完成時を想像して、組んではバラし、組んではバラしの繰返しで、
相当な時間を掛け、確認しながら土台となる木地の調整をしております。
お披露目まで約4ヶ月近くお時間をいただいておりましたので、落ち着いて進めることができました♬
完成時は漆や金箔に隠れてしまうので、木地修理の苦労がどうしても見えなくなってしまいます。
木地を扱う職人さんの妙技を少しでもお伝えできればと思い、ついつい長くなってしまいました(笑)
兎にも角にも、ベースとなる木地修理の大切さが伝われば幸いです
次は、漆塗りに進みます。
<漆塗り仕上がり>
すべて手塗りで仕上げております。
彫刻部分も塗り膨れすることなく、彫刻の凹凸がしっかりとでております。
また、扉の外側と文字が彫られている場は、蝋色をしてあります。
この部分は金箔が押されない場所であり、塗り面がダイレクトに見られます。
漆黒の光沢を強調するため、漆面を炭で研磨し、顔が映り込むほどに磨きます。
このような技法を蝋色(「ろいろ」と読みます)と呼びます。
<蝋色 終了後>
蛍光灯が映り込むほどスカッと仕上がっております♬
※右側の扉です。
木地修理同様に、綺麗に仕上げていただいています。
職人さん、ありがとうございます。
今回のブログは、ここまでにしておきます。
続きは次回ブログまで楽しみにお待ちくださいませ。
修理のことでご質問やご不明な点などございましたらば、
些細なことでもかまいませんので何なりとお問い合わせください。
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<以下、関連ブログです>
お寺様用お位牌をご下命いただきました! その2 ~位牌堂用~
お寺様用お位牌の修理をご下命いただきました!~御開山位牌・後編~
お寺様用お位牌をご下命いただきました! その3 ~歴代ご住職・檀信徒用位牌~
お寺様用お位牌をご下命いただきました! その4 ~四生六道法界萬霊位牌~
さて、今年はコロナウイルス感染拡大防止に伴い、祇園祭が一部の神事を除き中止となりました。
先週17日は、本来であれば前祭の山鉾巡行でした。
疫病の流行を鎮め、無病息災を祈念するために始まったのが祇園祭です。
昨今の情勢に相応しいお祭りだと思うのですが、
コロナウイルスの影響を鑑みると致し方ないことです。
京都の祇園祭だけでなく、
その土地に根付くお祭りが全国的に中止になるニュースも見聞きしています。
ほんと悲しいですね。
ネットで祇園祭を調べると、明治時代にコレラ流行で延期されたと書かれていました。
現況では、延期も難しいとは思いますが、
少しでも早く鎮静に向かうよう、ただただ祈るばかりです。
娘連れて、親子で祇園祭デビューしたかったなぁ
お楽しみは、来年に持ち越しです♬
気づけば7月も終盤です
時間が流れるのがホントに早いです。
それでは、みなさまにとって今週も良き1週間となりますように。
合掌
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