みなさま、おはようございます。6代目です。
加茂定ブログにお越しいただきありがとうございます。
ブログのタイトルにしています「瓔珞(「ようらく」と読みます)」という物をご存じでしょうか?
お寺様の本堂で見かける機会があるのですが、そうそう意識して見られることは無いと思います(泣)
私もこの仕事をしてなければ確実に知ってなかったと思います(笑)
上の写真をご覧ください。
禁煙効果で太ってしまった私が写っておりますが(大笑)、私の上側にご注目ください!
※撮影は8月下旬。間もなく禁煙3ヶ月、目前の頃です。
天井から「筒状の物」と「鎖?のような物」が下がっております。
「筒状の物」は「幢幡(「どうばん」と読みます)」と呼ばれる仏具です。
幢幡の上部から吊り下がっている「鎖?のような物」を「瓔珞」と言います。
※オレンジ色の枠部分です。
<瓔珞単体>
瓔珞をもっと近距離でご覧ください。
近づくとこんな形をしています。
※これ以外のデザインをした瓔珞もございます。
※「1個体」でも「繋がれた状態」でも、瓔珞と呼びます。
この瓔珞を1つ1つ繋げていき、上から吊り下げる形で本堂を荘厳するお仏具になります。
この度のご依頼は、瓔珞同士を繋ぐ線が経年劣化で弱まり、
切れた箇所を繋ぎ直してほしいというものでした。
<瓔珞が切れてます>
上の写真は、1つ目の瓔珞から下が切れております。
<落ちた瓔珞>
上の写真は、切れて落ちた方です。つまり2つ目から下の瓔珞です。
<瓔珞が割れてます>
床に落ちた衝撃で、瓔珞が割れている箇所もございます。
目立つような切れ方をしているのは上の写真瓔珞ですが、
これ以外にも瓔珞が単体で切れているものも数点ございました。
瓔珞は同時期に製作されていると思われますので、今後同じように切れていくことも考えられます。
よって、先を見越して同様の現象が起こらないように、
12本の瓔珞をすべて繋ぎ直すご下命をいただきました。
※幢幡1つに6本の瓔珞が下がります。
天井まで約5mありますが、短い腕を目一杯伸ばして瓔珞を外します(笑)
脚立を登ったり降りたりの単純な繰り返し作業ですが、汗が噴き出てきます
8月下旬に現場作業をさせていただいたのですが、ダイエット効果もありました^^
幢幡の瓔珞12本を無事に取り外しました♬
なんかスッキリして、物淋しいですね^^
天井の真ん中にある四角形の物を「人天蓋(「にんてんがい」と読みます)」と言います。
こちらの人天蓋にも瓔珞が吊り下げられていますが、こちらは触らずにそのままです!
ということで、約3ヶ月の工期をいただき12月上旬に納めて参りました!
<ステンレス線繋ぎ その1>
上の写真のオレンジ色の矢印部分が、元の線を取り換えて繋ぎ直してあります。
瓔珞が切れるのは、元の線が経年劣化で弱まり切れやすくなるのが主たる原因です。
今回のお寺様では、針金が使われていました。
針金が腐食し、金属耐性が弱まることや錆で切れたりしていました。
※新品で買われる場合は、用途に応じて糸や針金で繋がれていることが多いです。
この悩みを解消するために、ステンレス線を使いました。
ステンレスは、軽くて丈夫、しかも錆にくい合金です。
※ステンレス線は、糸や針金よりご予算がかかります。
ステンレスを英語表記しますと、「 Stainless steel 」です。
Stain・・・錆び
less ・・・もっと少なく
steel・・・鋼
インターネットで調べますと、「錆が少ない鋼」として説明されています。
時折、瓔珞が床に落ちていることを見てこられたご住職様。
見るたびに、悲しい気持ちになられていたそうです。
<ステンレス線繋ぎ その2>
<ステンレス線繋ぎ その3>
ステンレスは、このような心配を解消してくれる一助となります!
付け加えて、
上の位置にある瓔珞は、下の瓔珞の重さの負担がどうしてもかかってしまいます。
幢幡に付けられる瓔珞は長さがあるため、上部の瓔珞には大きな負荷がかかってしまいます。
今回の場合では、瓔珞の全長は約240cmあります。
ステンレスは重さ対策にも効果がありますので、効力を発揮してくれると思います!
瓔珞は、龍に引っ掛ける形となっています。
※龍以外の場合もあります。
取付も無事に終了いたしました!
幢幡の一番下にも瓔珞が掛かっているのですが、
こちらもすべてステンレス線で繋ぎ直しさせていただきました。
最後になりますが、今回のお仕事で「素敵だな♬♬」って思うことがありました。
<10個繋ぎの瓔珞>
幢幡に吊り下げられている瓔珞の数は、1本に付き10個付いておりました。
本来1本に付き、瓔珞の数は9個で繋がれます。
上でも申し上げましたが、幢幡1つに6本の瓔珞が下がります。
幢幡は対をなして荘厳するお仏具なので、瓔珞は全部で12本になります。
瓔珞の総数は、12本×9個=108個になります。
実はこれ、煩悩の数を現わしているんです
※名古屋で修業してる時に、職人さんに教わりました^^
しかし、こちらのお寺では1本に付き瓔珞が10個繋げられていますので、
瓔珞の総数は、12本×10個=120個になります。
修業時代、わざと瓔珞の数を増やされて注文されている方も居られました。
なぜ増やされるかと言いますと、
瓔珞は立体的で特徴的な形をしていますので、光が当たると凄くキラキラ光ります。
また、風が流れ込んできますと、ゆらゆらと揺れながらさらにキラキラ光っているように見えます。
たった12個ですが、それだけ増えただけでもキラキラ感は格段に増します!
瓔珞がキラキラ光っている様は、本堂内を見事に美しい景色へと変貌させます。
以前に「錺金具でデコレーション♬ ~荘厳感増した本堂に~」というブログを書きました。
錺金具は装飾性を高める物で、雰囲気を引き立たせる物。
つまり、荘厳感が増したとお話しさせていただきました。
荘厳とは、「気高くおごそか」なことです。
慣例では108個ですが、わざと120個の瓔珞にしてあるということは、
「仏様をお祀りする場を少しでも荘厳な場にしたい、立派な本堂にしたい」
というお考えがあって、瓔珞の数を故意に増やされたのかなぁと推測するのです。
当時のご住職様が考えられたのか、
それともご寄進された方が考えられたのか。。。
我々がそれを知るすべはございませんが、過去に思いを馳せロマンを感じさせていただきました。
そして、その想いを引き継ぎ、次代に継承するお仕事に携わらせていただいたことに、心より感謝申し上げます。
瓔珞に照明が当たっていますので、とてもキラキラしてて綺麗ですね^^
いかがでしょうか?
すごく明るくて荘厳感増した本堂にさらに高まったと思います^^
補足ですが、繋ぎ直す前に瓔珞を洗浄しております。
写真では分かりにくいですが、黒ずんでいた瓔珞も少しは艶を戻しております^^
瓔珞が切れていませんでしょうか?
瓔珞が落ちて割れていませんでしょうか?
このまま放置しておけば、いつかは切れるかも??
等々、ご心配や何か対策をご検討されているご寺院様がおられましたらば、一度お問い合わせくださいませ。
些細なことでもかまいませんので何なりとお問い合わせください。
【お問い合わせ先】
ホームページからのお問い合わせはこちらからお願いいたします。
直通メールアドレス 0883@d2.dion.ne.jp からもご利用いただけます。
※返信にお時間がかかる場合もございます。
<以下、関連ブログです>
お寺様用「常花」の修理と「花立・火立」の新調をご下命いただきました!
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お寺様用「瓔珞」の繋ぎ直しをご下命いただきました! ~幢幡編 その2~
お忙しい時期にお時間をいただき取付させていただきました。
ありがとうございます!
この度のご縁、誠にありがとうございました。
先週、日中は太陽が出てることが多くて寒いんだけど、
ポカポカ陽気の時間帯もあって気持ち良くなかったでしょうか?
私は、太陽が差し込む所に無意識に足が向いてましたね(笑)
12月も明日から後半戦に突入です!
時が経つのは早いな~~~~~~~(汗汗汗汗汗)
来週はクリスマスですが、私はケーキを頼みました^^
コタツに入りながら甘い物を食す
そして、満腹感に満たされてそのまま寝る
私にとって、至福の一時 早くも楽しみです(笑)
みなさまもクリスマスに向けて、準備がお忙しい頃でしょうか?
私は、やり残しが無いように毎日を過ごしたいと思います^^
それでは、今日もみなさまにとって良き一日となりますように!
合掌
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