みなさま、おはようございます。6代目です。
加茂定ブログにお越しいただきありがとうございます。
とても大きな仏像が入る仏壇を探して、お越しいただきました。
仏像寸法を採寸されておられませんでしたが、
お客様の記憶を頼りに提案させていただきました。
「なんせ大きいんです!!」
何基か入りそうな候補仏壇はございましたが、
記憶だけでは必ず入るという確実性を持たせることはできません
また、仏像は壊れているそうで、
「仏像を修理してからお祀りしたい」
というご希望をお持ちでした。
・どの部分が損傷しているか分からない
・仏像の寸法が分からない
この条件下で、推測だけで仏壇を決めるのは非常に危険です。
せっかく決めていただいても、選び直しの可能性があるからです。
ですので、仏像を見せていただいてから話を進めましょう♬
というプロセスを踏むことになりました。
とても立派な阿弥陀如来様でした!
光背が欠損しておりますが、現状で総高さ52cmあります。
埃や煤等の汚れで黒ずみ、経年劣化で各所に痛みがでております。
しかし、出来上がり当時は金箔押し仕上げの御仏像で、
キラキラに輝く眩い容姿をされていたと思います。
本来は総高さ60cm近くはあったのかなぁ~??
残念過ぎますね
壊れていなければ威風堂々なお姿であったと推測できます。
仏様は、造り付けお仏壇に祀られていました。
上の写真の奥に見えると思います。
お位牌の数もたくさんあり、何代にも渡り家系が続いていることが容易に判断できます。
造り付けお仏壇の説明については、下記のブログをご覧ください。
造り付けお仏壇からモダン仏壇へ ~ご本尊やお仏具はそのまま使いたい!~
造り付けお仏壇からモダン仏壇へ その2 ~お仏像は断念、お位牌はそのまま使いたい!~
たくさん居られますご先祖様をこれから先も供養されるにあたり、
本来あるべきお姿に戻したいことがお客様の宿願です。
<光背の欠損と紛失>
過去に水害に遭われたそうで、
その苦難を乗り切り家族を見守ってくださった大切な仏様だそうです。
<右手の紛失>
仏様ご自身も床上浸水する中でプカプカ浮いておられ、
流されることなく難を逃れたそうです。
<光背の欠損と紛失>
水害に耐えて残られた「奇跡の仏様」とも言うべきでしょうか?
<螺髪の欠損>
仏様が辿られた歴史に思いを馳せると、
「修理したい!」というお気持ちは言わずもがなかとお察しいただけると思います。
<華盤の欠損>
つまり、
「阿弥陀如来様を修理してから仏壇を考えよう!」
ということになりました。
光背の先端が元通りにならなければ、仏像の総高さが分からないですからね
では、修理のお話に移ります。
過去にお仏像の修理についてお話ししています。
この時は、金箔と漆・下地を洗浄で剥がし木地まで戻し解体、
木地修理を済ませてから漆塗り・金箔押しを経て修理完成としました。
「復元修理」と呼ばれる修理方法です。
また、製作当時のお姿となるべく、新品同様に仕上げました。
「新品同様仕上げ」と呼びます。
この度も同じコースを辿るのかな?と思っていましたが、
「長年に渡り積み重ねられた面影を残してほしい!」
お客様から強くリクエストをいただきました。
<既存の仏身>
どういうことかと言いますと、
復元修理のように木地まで戻し「塗り箔」をするのではなく、
欠損や紛失部分のみを直すことを望まれていました。
「復元修理」ではなく「部分修理」ということです。
この度のお仏像では、
・失われた光背や右手を戻す
・欠けた螺髪や華盤を戻す
ポイントを絞って修理しますので痛みや傷以外は触りません。
ですので、当時の意匠がほぼ残ります。
また、お仏像全体で見て取れる黒の汚れは、
「ご先祖様を供養してきた証」
「大切に護ってきた証」
長い時間に渡り手を合わせてきた印とも言えましょう。
「部分修理」は、阿弥陀如来様が持つオーラを消去ることなく、
現在未来へと紡いでいく修理法と言えましょう。
痛む部分だけを直しますので「部分修理」が分かりやすい表記ですが、
格好良い言い方をしますと「現状維持修理」とも呼びます。
製作当時の容姿や時の流れで纏われた風合い(ルックス)を最大限残しつつ、傷ついた場所だけを直す。
仏様とお客様が過ごされたヒストリーを重視したお直しということです。
という訳でございまして、
お客様のご希望が叶う「部分修理」でご注文をいただくこととなりました。
修理内容を纏めますと、
① 光背の欠損と紛失
② 右手の紛失
③ 螺髪の欠損
④ 華盤の欠損
①~④に付きましては、木地を新調し補充を行う部分修理をいたします。
加えて
⑤ 蓮台と敷茄子のグラツキを固定
上記5ヵ所の部分修理となりました。
繰り返しになりますが、
「長年に渡り積み重ねられた面影を残してほしい!」
お客様からお願いされました最重要事項です。
①~④は、木地を新たに製作し、漆塗り・金箔押しを行います。
※③のみ金箔押しではなく彩色になります。
最終段階は、金箔押しで終わりキラキラの状態になるという訳です。
しかし、キラキラの状態で戻しましたら、調和が全く取れません。
従いまして、故意に汚して仕上げます。
「古色仕上げ」と呼ぶ技法なのですが、
「時の移ろいで生じた雰囲気を、意図的に再現する」
ということです。
「部分修理」と「古色仕上げ」
2つの手法を取り合わせ、お客様のご要望を実現いたします!
(予告)最終話で、修理法が少し変化します。
長くなってきましたので、修理内容は次回ブログに続きます♬
乞うご期待くださいませ!
<以下、関連ブログ>
修理のことでご質問やご不明な点などございましたらば、
些細なことでもかまいませんので何なりとお問い合わせください。
しっかりとサポートさせていただきます!
【お問い合わせ先】
ホームページからのお問い合わせはこちらからお願いいたします。
直通メールアドレス 0883@d2.dion.ne.jp からもご利用いただけます。
※返信にお時間がかかる場合もございます。
【LINEによるお問い合せ受付サービス】
この度、ラインからもお問い合わせいただけるように致しました
下記の手順で登録いただければ、ご利用いただけます。
お手持ちのスマートフォンでQRコードから「友だち追加」をクリックし、
LINEトーク画面からお問い合わせください。
こちらも是非ご利用くださいませ。
さて、今回は読みやすく且つ分かりやすさを狙い、纏めて一気に3つアップします
次のブログへお進みくださいませ
「阿弥陀如来立像」の修理をご下命いただきました! その1ー2
時間が無い方は、一気に3つ目にお進みください
「阿弥陀如来立像」の修理をご下命いただきました! その1ー3
合掌
#京都 #kyoto #京仏壇 #京仏具 #仏壇 #仏具 #寺院用具 #加茂定
#仏像修理 #阿弥陀如来 #阿弥陀如来立像 #水煙舟光背 #水煙光背
#部分修理 #現状維持修復 #復元修理 #古色仕上げ
#仏壇のある暮らし #仏壇のある部屋 #1家に1仏壇