お寺様用「紫幕」をご下命いただきました! その2 ~「大黒殿」落慶法要♬~

みなさま、おはようございます。6代目です。

加茂定ブログにお越しいただきありがとうございます。

 

 

 

昨年の12月に、お寺様からご依頼いただきました。

新しいお堂を造られまして、そこに掛ける紫幕となります。

 

 

 

サブタイトルにも記載しておりますが、

「大黒天」様をお祀りされるので、お堂の名称は「大黒殿」と命名されました。

大黒殿外観_その1.JPG

<大黒殿外観>

採寸を行うため、現場に向かいます。

とても立派なお堂が出来上がっていました♬

 

 

 

ご住職様に、「どのような感じで幕を掛けたいのか?」

ご希望のイメージをヒアリングします。

大黒殿幕イメージ_その1.jpg

<① 紫幕イメージ 柱外外>

大黒殿幕イメージ_その2.jpg

<② 紫幕イメージ 柱内内>

① 柱の外側~外側まで(巾191cm)に渡り、幕を掛ける

② 柱の内側~内側まで(巾173cm)に渡り、幕を掛ける

①と②、どちらの掛け方にしようか?ご思案中でした。

 

 

 

ご住職様の頭の中でイメージされている映像をリアル化するために、

①と②の見本幕を作ってご判断していただくことになりました。

 

 

 

過去にご紹介しましたブログでもお話ししておりますが、

ライトロンを用いて作製予定寸法の見本幕を作ります。

仕上がりをイメージしやすいようにするためでしたよねflair

※ライトロンは、割れ物を包む緩衝材のことです。

 

 

 

という訳で、1回目は「幕の掛け方のイメージ」を共有するための打合せとなりました。

後日、見本幕を持って行き、「イメージの確定をしましょう」とお約束。

次回は、お檀家様や設計士さんも加わり打合せです!

 

 

 

2回目の打合せです。

大黒殿見本幕_その1.JPG

<1回目の見本幕取付け>

「① 柱の外側~外側」と「② 柱の内側~内側

2種類の幕を掛けてみまして、「② 柱の内側~内側にしましょう!」

ということになりました。

 

 

 

1回目と2回目の打合せの間に、

「【大黒殿】の文字が書かれた額を飾ろう♬」

という話が持ち上がっておられました。

 

 

 

ですので、鴨居の下柱の内内・鴨居と柱の裏側に幕を掛ける方が、

額・幕ともに綺麗に見えるでしょう♬♬という結論です。

大黒殿見本幕_その3.jpg

上の写真が、イメージです。

鴨居と柱の表側に幕を掛けますと、

額と重なり合うことになりますので、裏側に掛ける方がスッキリしますよねshine

 

 

 

そして、設計士さんからこんな一言がありました。

「幕をたくし上げると、両サイドに隙間ができますねぇ」

「そうなると、見栄えが良くなさそうdespair

 

 

 

どういうことかと言いますと、

センター部分で揚巻房(緑色)を使い、たくし上げます。

※「揚巻房」・・・「あげまきふさ」と読みます。

大黒殿見本幕_その4.jpg

上の写真は、前回ブログでご紹介しました幕です。

お寺様用「紫幕」をご下命いただきました! ~日蓮大聖人御降誕800年記念事業♬~

こちらのお寺様では、揚巻房を比較的低い位置で結ばれておられます。

私も、このゆったりとした揚巻房の付け方が好きです。

大黒殿見本幕_その1.JPG

2回目の打合せでは、ご安置される「大黒天」様を実際に置いてみました。

※写真では2段目に居られますが、正式には1段目に置いています。

 

 

 

「大黒天」様のお姿がハッキリと見えるようにするためには、

揚巻房を鴨居の近くで結ばないといけません。

 

 

 

鴨居の近くで結ぶ場合、幕のセンター部分が上の方までたくし上げられることで、

両サイドが内側に引っ張られてしまいます。

大黒殿見本幕_その2.jpg

上の写真をご覧ください。

センターの赤矢印方向に幕を上げると、

両サイドの下部が内側に引き寄せられます。

そうすると、青〇部分に隙間が生じることになります。

 

 

 

この隙間から後ろ側が見えてしまい、

「体裁が良くない」というご意見でした。

 

 

 

この課題を克服するために、

大黒殿見本幕_その5.jpg

両サイドの幕の巾を10cmづつ伸ばし、

内側に引っ張られても後ろ側が見えないようにしましょう!

という対策を取ることといたしました。

 

 

 

補足ですが、

上の写真は巾191cmサイズの見本幕を付けています。

大黒殿見本幕_その7.JPG

拡大しますと、内側に少し余分が出来ていますよね。

これだけでは、まだ少し隙間ができるので、もう10cm伸ばすことになりました。

 

 

 

ご住職様・お檀家様ご了解のもと、

柱の外側~外側(巾191cm)に、両サイドそれぞれプラス10cm

つまり、20cm広げて巾210cmで製作することになりました。

こうして、2回目は「幕の大きさ・掛け方」を確定させることが出来ました。

 

 

 

今回は設計士さんに、幕の取付け金具を付けてもらいます。

また、「大黒殿」の額も設計士さんが造られ、取付け(紫幕も含みます)までされます。

 

 

 

ようやく寸法が決定しましたので、図面レイアウトを準備いたします。

その前に、確認事項が1点ありました。

紋のデザインです。

打出の小槌紋_その1.jpg

<大黒堂 白幕>

打出の小槌紋_その2.jpg

<山門 白幕>

お寺の敷地内に2ヶ所、幕が掛けられています。

「大黒堂幕」と「山門幕」に1ヶ所違いがありますが、

どこかお分かりになるでしょうかsign02

※「大黒堂」の「大黒天」様の御分体が、「大黒殿」にお祀りされます。

 

 

 

2枚の写真を、よ~~~くご覧ください。

 

 

 

正解は、文字の向きが違うんですflair

「大黒堂幕」は、「」と「松ヶ崎」

内側から外側に向けて「松ヶ崎」と読むようになっています。

 

 

 

一方、「山門幕」は、」と

右から左に向けて「松ヶ崎」と読むようになっています。

 

 

 

異なる2種類で、なぜ作られたのかは定かではありませんが、

どちらかに合わせた方が良いかな?と思いました。

 

 

 

ご住職様にご希望をお伺いし、

「大黒堂幕」と同じ、「」と「松ヶ崎」でお決めになられました。

打出の小槌紋_その3.jpg

「大黒堂幕」をお借りし、写真撮影。

写真データをパソコンに取り込み、

幕レイアウト.jpg

<図面レイアウト>

バランスよく配置し、レイアウト完成です!

今回、文字はいれません。

パソコンって、ホント便利ですよね^^

レイアウトをもとに、見本幕に紋を取り付け、3回目の打合せに向かいます。

 

 

 

3回目の打合せは、ご住職様と設計士さんとの3人で決行です。

大黒殿見本幕_その6.jpg

<2回目の見本幕取付け>

黒の四角形で、紋を見立てています。

紋が、少し柱寄りになっていますね。

幕レイアウト_その2.jpg

紋の割付け位置は、端から1/4の距離に、紋の中心がくるように配置します。

全体巾が210cmですので、紋の中心は端から52.5cmとなります。

よって、紋の中心から中心までが、105cmということになります。

 

 

 

柱の内内寸法は、巾173cmでした。

この場合で作る際は、紋の中心は端から43cmとなります。

 

 

 

しかし、両サイドの隙間を出さないために、幕巾は210cmに設定しました

幕巾210cmの場合、紋の中心は端から52.5cm

幕巾173cmの場合、紋の中心は端から43cm

 

 

 

173cmの場所に、幕巾210cmの割付けでレイアウトを作っています。

ですから、紋の位置が約10cm柱寄りになるということなんです。

 

 

 

ここは、割付けを無視しまして、

目測で「あ~でもない、こ~でもない」と相談しながら、ベストの位置を決めましたhappy01

ベスト位置は、納品後でご覧いただきます!

3回目は「紋の位置」を確定させることが出来ました。

 

 

 

1回目は「幕の掛け方のイメージ」を共有

2回目は「幕の大きさ・掛け方」を確定

3回目は「紋の位置」を確定

 

 

 

12月初旬から始まった打合せですが、3回目の打合せが終了しましたのが12月中旬です。

年末ということもあり、皆様お忙しかったですが、

2週間の間に3回もよく会えたなぁと今更ながらに感心しますhappy02

設計士さんは、県外から来られてましたsweat01sweat01sweat01

 

 

 

さあ、いよいよ製作開始です!

納品は、お正月の行事が終わった落ち着いた頃に決行となります。

「良いお年をお過ごしください♬」と声を掛け合い、いったん解散です。

 

 

 

2021年1月24日(日)大安吉日

お楽しみの納品です♬

紫幕納品_その1.JPG

設計士さんのところのお抱え職人さんに取付けいただいています。

額も出来上がっていますね!

紫幕納品_その2.JPG

鴨居の内側に幕を掛けることで、額・幕ともに綺麗に見えていますねshine

紫幕納品_その3.JPG

「大黒天」様が隠れないように、揚巻房の位置を決めています。

遠くから拝顔することも考慮して決めております!

紋の中にある文字、「」と「松ヶ崎」になっていますshineshine

紫幕納品_その4.JPG

課題点と挙げていました、両サイドの隙間もありませんねshineshineshine

紫幕納品_その5.JPG

紋の位置もバッチリですねshineshineshineshine

みなさんで悩んだ甲斐がありました♬

 

 

 

作業始めは天候が曇っていましたがcloud

作業終了後には太陽の陽が差込んできましたsun

 

 

 

紫幕は屋外で年中掛けっぱなしにされますので、

「生地が強く、耐水性があり、色褪せしにくい」

3拍子揃ったテトロンツィルという生地を採用していますshineshineshineshineshine

 

 

 

色褪せしにくい」と記載していますが、

屋外に掛けたままですと、いずれは色褪せが必ず起こります。

色褪せが少しでも遅くなる予防として、テトロンツィルとしております。

 

 

 

綿や正絹といった他の素材で作ることもできますが、

「年中屋外」という点を考慮してのことです。

 

 

 

幕の仕様決定から納品までは1ヶ月近く時間が空きましたが、

仕様決定までは突貫作業でしたcoldsweats01

 

 

 

・「幕の掛け方のイメージ」を共有

・「幕の大きさ・掛け方」を確定

・「紋の位置」を確定

 

 

 

現場に合わせて「製作」することは、

現場にフィットするかどうかを確認できるまで落ち着かないものです。

しかし、3回の打合せを通して、うまく納めることが出来ました。

 

 

 

その甲斐もありまして、ご住職様にお喜びいただけました。

ご住職様からは、

「加茂さん、良い仕事してくれたねshineshineshineshineshine

労いのお言葉をいただけました!

 

 

 

私の頭の中では「星5つ、いただけた!」と、勝手に脳内変換していました(笑)

図々しいですね(笑)

 

 

 

設計士さんとも連携が取れましたし、本当に取付けまで順調に進みました!

関わっていただきましたすべての皆様に感謝申し上げます。

 

 

 

幕についてのご質問やご不明な点などございましたらば、

些細なことでもかまいませんので何なりとお問い合わせください。

しっかりとサポートさせていただきます!

【お問い合わせ先】

ホームページからのお問い合わせはこちらからお願いいたします。

直通メールアドレス 0883@d2.dion.ne.jp からもご利用いただけます。

※返信にお時間がかかる場合もございます。

 

 

 

<以下、関連ブログです>

お寺様用「白幕」「仏天蓋」をご下命いただきました! ~事前調査が注目ポイント♬~

お寺様用「紫幕」をご下命いただきました! ~日蓮大聖人御降誕800年記念事業♬~

お寺様用「紫幕」「白幕」をご下命いただきました!~晋山式法要♬~

 

 

 

納品してから数日後、ご住職様からお電話がありました。

「落慶法要をするので、参列してほしい」

と、嬉しいお誘いをいただきましたsmile

法要_その1.JPG

2021年2月5日(金)これまた大安吉日note

快晴の中、厳かに執り行われました。

屋外ですので、コロナ感染対策もバッチリですね。

法要_その2.JPG

爽やかな朝の陽の光の中、大黒殿を優雅に荘厳してくれています。

「荘厳」とは、「気高く厳かなこと」

「仏様をお祀りする場を荘厳な場にしたい、立派なお堂にしたい」

今回ご依頼をいただくにあたり、ご住職様が持たれていましたお考えでした。

 

 

 

紫幕でエレガントに高められた雰囲気は、

ご参拝に来られる方へのご住職様の想いが詰まっています。

お詣りに来られるたくさんの方々を、格調高くお出迎えしてくれることでしょう^^

 

 

 

この度のご下命、誠にありがとうございました。

そして、ご住職様・お檀家様、大黒殿の竣工おめでとうございました。

 

 

 

さて、今日から浜松へ催事出張のため出発します。

広島に続き、良い御縁が結べますように!

広島でお仏壇のご縁いただけました^^

その話しは、別の機会でお話ししますね。

 

 

 

手荷物の準備がまだ残っていますので、この辺で失礼いたします。

みなさまにとって、本日も良き1日となりますように♬

そして、素敵な1週間の始まりとなりますように♬♬

それでは、行ってきます!

合掌

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