掛軸の表装替えをご下命いただきました その4 ~浄土真宗本願寺派阿弥陀如来 その2~

みなさま、おはようございます。6代目です。

加茂定ブログにお越しいただきありがとうございます。

 

 

 

浄土真宗本願寺派様用の掛軸修理のご依頼をいただきました。

お預かり時の状態を、まずはご覧ください。

寸法は、丈77,5cm 巾29cmです。

※金具は、巾に含まれていません。

写真では実感しにくいと思いますが、かなり大きい掛軸です。

このサイズの掛軸が入る仏壇となりますと、高さ180cm近くになります。

 

 

上部分の裂地の断裂箇所は、非常に多く見られます。

最上部は裂地そのものが無くなっていますし、風帯もありません。

下部分は上側と比較しますと、しっかり残っております。

阿弥陀如来様は、絹地に描かれています。

模様には截金が使われており、非常に素晴らしい阿弥陀様です。

お預かりしました掛軸には、裏書がされています。

真ん中の下あたりのボカシが、少し赤味を帯びているように見えると思います。

こちらは落款が押されているためです。

落款の上には法名が記載されているのですが、歴代ご門主様の法名です。

100年以上前に製作された掛軸となります。

西本願寺様から授与された掛軸の為、阿弥陀如来様にボカシを入れています。

 

 

裏打ちの紙も、所々剥がれており表側の表装が見えています。

縁側も同様の症状になっています。

 

 

 

百年以上前に製作された掛軸と申しましたが、

桐の柄は真っ黒にならずに、僅かですが金色が発色しています。

 

 

 

上の3枚の写真の内、右側の写真は金色が光っているのが分かると思います!

※フラッシュを付けて撮影していません。

本金糸で編まれた本金襴が使われていることが窺えます。

外縁、中縁ともに本金襴が使われていますので、断裂していることが悔やまれます。

お預かりしました掛軸の仕様を纏めますと、

外縁:本金襴 小内桐柄

中縁:本金襴 五三の桐連続紋

本紙:絹本紙 截金

と、なります。

加えて、本山西本願寺様から授与されたご本尊様となります。

 

 

 

修理をさせていただく際に、裂地を選んでいただきます。

裂地の柄は、

外縁には、「小牡丹」と「小内桐」の2種類から選択

中縁には、「五七の桐」と「下り藤」の紋

※「五七の桐」と「下り藤」は、ここより先は「桐藤紋」と表記します。

※上金織の中縁のみ、「雲入り」と「雲無し」の2種類あります。

上記より選択いただきます。

 

 

 

次に、それぞれの柄には「本金織」と「上金織」のランクがございます。

「本金織」は、本金糸を織り込んだ生地です。

金箔が使われた糸が使われていますので、光沢が強くでています。

光に当たりますと、さらに輝きが増します!

また、金箔が使われていますので、輝きも長く維持されます。

 

 

 

「上金織」は、代用金糸(真鍮箔)を織り込んだ生地です。

金箔が使われてませんので、光沢も輝きも弱いです。

しかし、安価に仕上げられ本金織をイミテーションした見た目が上金織の特徴でもあります。

本金織に比べますと、時間的に早く黒ずんでしまうのが難点かもしれません。

また、本金織のように強い輝きを求められない方が、故意に上金織を選ばれることもございます。

 

 

 

つまり、下記4種類から選択していただきます。

① 外縁:本金織の小牡丹 中縁:本金織の桐藤紋入り

② 外縁:本金織の小内桐 中縁:本金織の桐藤紋入り

③ 外縁:上金織の小牡丹 中縁:上金織の桐藤紋入り

④ 外縁:上金織の小内桐 中縁:上金織の桐藤紋入り

※③④の中縁のみ、さらに「雲入り」と「雲無し」を選べます。

 

 

 

ところが!

もう1種類、別の表装もご提案していました。

そして、そちらに決まります!

先に仕上がりを、ご覧ください!!

「本金雲鳳」という裂地で修理させていただきました。

「本金雲鳳」の読み方ですが、「ほんきんくもほう」と読みます。

職人さん曰く、他の読み方をする方もおられるそうです。

弊社は、職人さんの呼び方に合わさせていただいています。

 

 

本金糸が、ピカピカに輝いております!

 

 

しつこいようですが、ビッシビシ輝いています✨🤩✨

本山から授与いただける掛軸の表装の中に、鳳凰と雲が入れられた柄のものがあります。

同じ物を使うことは出来ませんので、それを模して作られたと聞いています。

 

 

 

先祖代々お祀りした掛軸なので、修理を機に良い物で仕立てたい!

傷ついたままで放置していたので、せめてもの償いで良いものにしたい!

 

 

 

お客様のご意向で、「本金雲鳳」に決めていただきました。

阿弥陀如来様をお見せ出来ないのが残念ですが、シミ・汚れ・破れ・折り目も直っています。

「シミ・汚れ」は、完全に取り除けてはいません。

絹の一部に「破れ」があったのですが、裏打ちで閉じています。

裏側の写真です。

うっすらと横筋が見えると思います。

これは、紙の折り目部分を補強した跡になります。

「折り伏せ」という作業です。

折り目の筋を放置しておきますと、破れてしまいますから😰

 

 

 

そして、上側に黒い部分が有ると思います。

お預かりしていました掛軸の裏書です。

既存の「裏書」を剥がし、載せ替えをしております。

したがって、載せ替えた裏書部分の紙の色が異なります。

 

 

この度の修理法では、載せ替えの手法で裏書きを残しました。

現物の掛軸を職人さんに見ていただいた上での修理プランです。

お客様にも同意いただき、修理を行いました。

 

 

 

この度の修理に当たり、お客様は本山に問い合わせをされています。

その時に職員の方から、

「文字は必ず残して修理をしてください。」

と、言われておられました。

 

 

 

お客様からは、

かなりボロボロではありますが、残していただぎすようお願いします。」

と、依頼を受けておりました。

お約束をしっかり守れて、安堵しております✨😁✨

 

 

 

他の修理箇所もご覧ください。

 

 

お預かり時には亡失していました風帯が戻りました!

風帯とは、縦2本の部分です。

角に金具も付きましたし、吊るす用の紐も戻りました!

下側の軸先に新しい金具を付けました。

本金襴共々、眩く輝いていて綺麗ですね😁

修理前

修理後

左が修理前 右が修理後です。

職人さんに綺麗にお直ししていただけました。

いつもありがとうございます。

 

 

 

商品名:浄土真宗本願寺派 御本尊 掛軸 表装替え

仕 様:外縁 本金襴(紺)本金雲鳳柄仕立

    中縁 本金襴(白)桐藤唐草入り柄仕立 

原産国:京都

サイズ:表装 丈78,8cm 軸巾29cm 金具巾32cm

    本紙 丈35,6cm 巾15,5cm

 

 

 

お引渡しの時に、

「綺麗💖😍💖」

とても嬉しいお言葉をいただけました。

 

 

 

修理をキッカケにされて、良い物で復活させたいご意向をお持ちでした。

「綺麗」の一言で、念願を叶えられる一助になれたかなと感じます。

 

 

 

秋彼岸は超えてしまいましたが、眩い阿弥陀如来様と共に新年をお迎えいただけます。

残念ながら現在はお仏壇が無く、床の間にお祀りすると仰っておられました。

スタンドに掛けた掛軸の写真なのですが、立派な掛軸として戻られました。

お客様ご家族を、暖かく見守ってくださりそうです✨😁✨

 

 

 

掛軸が破れていたりしますと、元に戻らないのでは??

 

 

 

そうやって、先入観を持たれるかもしれません。

しかしながら、熟練の職人さんに現物を見ていただけましたらば、

その掛軸に相応しい修理法を提案してくださいます。

 

 

 

前回もそうでしたが、綺麗になって戻って来られます。

裏書きが有る場合でも、載せ替えという手法で残せます。

まずは、諦めずに一度お問い合わせいただけましたら幸いです。

 

 

 

掛軸はもちろんのこと、床掛軸の修理をご検討中の方がおられましたならば、一度お問い合わせくださいませ。

職人が掛軸の状態をしっかりと見定め、最適の方法でご提案させていただきます。

些細なことでもかまいませんので、何なりとお問い合わせください。

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※返信にお時間がかかる場合もございます。

 

 

 

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<以下、関連ブログです>

床掛軸の表装替えをご下命いただきました その1-1 ~御曼荼羅~

床掛軸の表装替えをご下命いただきました その1-2 ~御曼荼羅~

掛軸の表装替えをご下命いただきました その2ー1 ~御曼荼羅~

掛軸の表装替えをご下命いただきました その2ー2 ~御曼荼羅~

掛軸の表装替えをご下命いただきました その3 ~浄土真宗本願寺派阿弥陀如来~

 

 

 

この度のご縁、誠にありがとうございました。

 

 

 

さて、天気予報通りに寒くなりましたね。

朝でも気温10度を超えている日が続いていましたし、

日中は本当にポカポカ日和が続いていました。

 

 

 

高低差ありすぎです!!!

某芸人さんのパクリです(笑)

 

 

 

冬の本格的な幕開けですかね!?

今日は、全国的に今季一番の寒さだそうです。

暖かくして、お過ごしくださいね。

インフルエンザも流行していますし、用心してくださいね。

 

 

 

あと2週間で、今年が終わります!

早いなぁ。。。

年取るなぁ。。。

来年で40代が終わるううううううう(泣)

合掌

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