みなさま、おはようございます。6代目です。
加茂定ブログにお越しいただきありがとうございます。
昨年の1月に仏様を載せる台を、お問い合わせいただいていました。
タイトルの「箱礼盤(仏台)」とは、「仏像用の台」のことです。
「箱礼盤」・・・「はこらいはん」と読みます。
「コロナ」という言葉が、全世界に知れ渡る前のことです。
今となっては、懐かしいですねぇ^^
載せる台の主役様は、大黒天様になります!
※大黒天様のお顔は、加工させていただきます。
当時は、箱の上に布を敷かれて、お祀りされていました。
敷物を捲りますと箱の姿が出てきました。
この箱、中身は紙芝居が入っていました!
いつの時代かは分かりませんが、お寺で子ども達に朗読されていたんでしょうね♬
ノスタルジックな情景を連想してしまいます。
新規作成に際し、
新しく作る台の大きさは、既存の台と同じ大きさにして欲しい
ご住職様のご希望でした。
既存の箱寸法は、巾49cm 奥行37cm 高さ13cmでした。
台のデザインですが、
四天王像に使われている台をイメージしてほしい
ザックリとですが、ご希望を教えていただきました。
厳密に言いますと、上の写真部分をメインにします。
天邪鬼や岩は、省きます。
「天邪鬼」・・・「あまのじゃく」と読みます。
ご住職様のご希望をお聞きし、それに沿う形で立案していきます。
最終的に、
(当初希望)巾49cm 奥行37cm 高さ13cm
(希望変更)巾50cm 奥行50cm 高さ13cm
大黒天様が載られる場を、正方形に変更することでお決めいただきました。
<箱礼盤 木地 正面 その1>
<箱礼盤 木地 正面 その2>
<箱礼盤 木地 斜めアングル その1>
<箱礼盤 木地 斜めアングル その2>
こちらは、塗る前の木地の写真です。
正面にのみ、「格挟間」と呼ばれるデザインにしております。
「格挟間」・・・「こうざま」と読みます。
側面・背面は、無地板です。
<格挟間 木地 その1>
お椀のような形で切り抜かれた後ろ側に、ギザギザの板があてられています。
ギザギザ板は、「雁木」や「連子」と呼ばれます。
<格挟間 木地 その2>
上から覗き込むと、ギザギザが分かりやすいかと思います。
ギザギザのポテトチップスの表面と似ていますね♬
上の写真は、箱礼盤の一番下部分です。
「加茂定」の文字横に穴がありますが、柱を立てる用の穴です。
「ホゾ穴からV字に伸びる溝」に「格挟間」や「無地板」を嵌め込みます。
「嵌め込む=組み立てる」ということになりますが、
「分解できる」ということにもなります。
「分解」が可能ということは、修理を行いやすいという利点があります。
釘やビスで留める方法もございますが、
長い年月で腐食を起こし、木地に悪い影響を与えてしまいます。
遠い先のことまで考慮しますと、
「ホゾ穴」はとっても優秀な工法となります♬
この「格挟間」ですが、
お寺の本堂に置かれている仏具に、頻繁に使われています。
寺院拝観をされる場合には、是非見てくださいね。
いろんなデザインがありますよ♬
木地が出来上がり後、ご住職様お立会いの下、確認を兼ねて試し置きをさせていただきました。
何の問題もなく、ご了解をいただけました。
この後、塗の工程に移り、完成に向けてもうひと踏ん張りとなります♬
<箱礼盤 仕上り 正面 その1>
<箱礼盤 仕上り 正面 その2>
<箱礼盤 仕上り 斜めアングル その1>
<箱礼盤 仕上り 斜めアングル その2>
こちらの塗りは、漆を使用しております。
艶のある漆黒の色合いが、荘厳感を高めてくれていますね。
そして、部分的に「赤の線」が目につくと思います。
「面朱」と呼ばれる塗り分け技法です。
「面朱」・・・「めんしゅ」と読みます。
木地の写真を、もう一度ご覧ください。
赤い矢印部分に、筋が通っています。
この筋部分を「面」と呼ぶのですが、この面部分を赤で塗り上げました。
「黒面朱」や「黒塗面朱」と呼ばれます。
<格挟間 仕上り その1>
<格挟間 仕上り その2>
格挟間は、岩緑青で緑色で彩色しています。
「岩緑青」・・・「いわろくしょう」と読みます。
「黒・赤・緑」の配色でお作りしていますが、
仏具の中ではよく使われる配色パターンの1つです。
<箱礼盤 仕上り 左側面>
<箱礼盤 仕上り 右側面>
両サイドも「黒面朱」で仕上げています。
<箱礼盤 仕上り 背面>
背面は、真っ黒仕上げです。
当初、四天王像の台座を参考にお作りするということでした。
こちらは金箔が大部分を占めております。
この度、「黒面朱」でご提案したのには訳がございます。
<納品現場 その1>
大黒天様がお祀りされる場所のすぐ下が、「黒面朱」にされていたからです。
<納品現場 その2>
もう少し寄ってみますと、分かりやすいですね。
赤い筋で揃っていて、視覚的に良い印象を受けます♬
本堂の造りに統一感を持たせるコーディネイトにしてみたのですが、
皆様の目にはいかが映っていますでしょうか?
<納品現場 その3>
<納品現場 その4>
いい感じですね
作ってくださった職人さんに感謝です
お寺用仏具のことでご質問やご不明な点などございましたらば、
些細なことでもかまいませんので何なりとお問い合わせください。
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この度、「箱礼盤」をお迎えされるための目的をお持ちでした。
「〇〇をするから、その記念に作ろう!」
ということでした。
しかし、コロナで。。。予定が変わり。。。
その目的を断念されました。
ずっとご準備されていたことでしょうから、
目的が消滅してしまったことの落胆は、私では想像し難いです。
でも、「念願」は成就出来たと仰っていただけました。
どういうことかと言いますと、
「大黒天様が載られる台を、ずっと気にしていた。」
「だから、きちんとした物にお祀り出来て本当に良かった。」
納品当日にご住職様から胸の内をお話しいただけました。
コロナが落ち着き、元通りの世の中に戻りましたら、
改めて予定に取り組まれるそうです。
それまでは、「やる気エネルギー」の充電ですね!
目的が遂行されることを、ご祈念申し上げます。
ホントに早く、普通の世の中に戻ってほしいです!!
この度のご依頼、誠にありがとうございました。
大黒天様のご慈悲が、ご住職様やお寺のお檀家様に照らされますように!
そして、ますますのご繁栄をお祈り申し上げます。
そして、私にもお慈悲が降り注ぎますように!
さて、京都市内では昨日、久しぶりに太陽が照ったように思います。
ず~~~っと雨でしたので、身体に陽の光が当たり、気持ち良かったです♬
そして、蝉が鳴き始めました!
一気に夏モードに移ったなぁという印象です
みなさまのお住まいの地域では、蝉が鳴き始めたでしょうか?
不安定な天気が続いていましたが、
カラっと晴れた気持ちの良い毎日になればなぁと思います。
京都は蒸し暑いだけなんですけどね(笑)
それでは、今日も素敵な一日となりますように。
合掌
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