行方不明になっていた中板を新規作成! その1-2

みなさま、おはようございます。6代目です。

加茂定ブログにお越しいただきありがとうございます。

 

 

 

前回ブログでは、「中板のお役目」「回出位牌とは?」についてお話いたしました。

中板は、亡くなられた方の戒名を彫ったり書いたりする板

※太字部分の「戒名」は最後に訂正されますので、最後までご覧ください。

回出位牌は、中板と呼ばれる板が複数枚入っているお位牌で、

複数のお位牌を1つに纏められるお位牌としてご紹介いたしました。

 

 

 

この度お客様にご来店いただき、この「中板」についてご相談いただきました。

修理前中板_その1.jpg

<表面>

修理前中板_その2.jpg

<裏面>

修理前中板_その3.jpg

<左側面>

修理前中板_その4.jpg

<右側面>

黒い部分が剥がれていますね><

以前から、この中板が行方不明になっていたそうですが、

ご自宅のお庭でお仏具のお掃除をされていた時に、この中板を庭に置きっぱなしにされたそうです。

もちろん故意ではありません!

 

 

 

かなりの時間、雨風にさらされていたそうです。

上の写真でお分かりと思いますが、中板を半紙に包まれてお越しになられました。

弊社に来る道中でも、半紙の中でさらに黒い部分が剥がれているのがお分かりになると思います。

このまま放置しておくとすべて剥がれてしまうので、

大事なご先祖様の中板を何とかしてほしいということでご来店いただきました。

 

 

 

ご提案しました方法は、2種類です。

① 中板を修理する。

  黒い部分をすべて剥がし落とし、木地の傷みを調べ、新たに黒く塗り、文字を書く。

② 中板を新規作成する。

 

 

 

方法としては修理か新規作成の2択しかございませんでした。

黒い部分が剥がれていなければ、文字を書き直すだけで済むこともできましたが。。。

※文字を書き直す場合は、黒い部分の状態を見てからとなります。

 

 

 

お客様は、中板を野ざらしにされてしまったことをとても後悔しておられ、

ピカピカの新しい中板でお迎えしたいと言われました。

そして、ご先祖様には気持ちよくお過ごしいただき、家族のことを見守ってほしいという願いを込めて、新規作成でご依頼をいただきました。

中板新規作成_その1.jpg

お客様の中板を採寸し、型を取らせていただきます。

そしてこの型を職人さんに渡し、作成していただきます。

写真に「2枚」の文字が見えておりますが、予備用に欲しいということでした。

中板新規作成_その2.JPG

出来上がりがこちらです。

型通りに仕上がっております。

ここまでの文章で、ずっと「黒い部分」という表現を使ってました。

この「黒い部分」の正体は「黒うるし」です。

木地の上に「黒うるし」を塗りますと、漆黒の光沢を纏うわけです!

余談ですが、「うるし」の代わりに「代用うるし」や「新うるし」などという呼び方をされる「カシュー塗料」で塗られている物もあります。人工的に作られた「うるし」とお考え下さい。

中板新規作成_その3.jpg

<窓枠部分>

次のステップに進みましょう^^

回出位牌には、文字が見える部分が窓枠のようになっております。

どんなスタイルやデザインに関わらず、回出位牌には必ず窓枠があります。

この窓枠の中に、均等に文字が見えるように準備をしないといけません。

中板新規作成_その4.jpg

中板新規作成_その5.jpg

矢印の先端を目を凝らしてご覧ください。

線が引いてあると思います。

うるしが塗りあがった後に、お客様のご自宅にお邪魔し、線を引いてきました。

今回の仕事の中で、見栄えの良し悪しを決める大事な1つの作業です。

線引くだけのことやのに、大袈裟に言うな~~~!と聞こえてきそうですが、大事なことなんです!(笑)

窓枠に沿って線を引き、この枠線からはみ出さないように文字を書いてもらいます。

中板新規作成_その6.jpg

<表面>

新規作成中板_その7.jpg

<裏面>

とても綺麗に文字を書いていただきました。

新規作成中板_その8.jpg

仕上がりはこちらです!

窓枠の中に、均等に文字が出ていますね^^

 

 

 

回出位牌に中板を入れてご確認いただきましたが、大変喜んでいただけました。

庭で中板を見つけられた時は、とてもビックリされたことと思います。

さらに、うるしが剥がれ、文字まで剥がれているのを見られてとてもショックを受けられたことと思います。

 

 

 

ご提案の内容や作業的には、難しいというものではありませんが、

お客様のお立場から考えますと「どうしたらいいのか?」と不安になるのは当然です。

今回のように、お仏壇やお仏具のことで起こってしまうことは、

お客様にとっては初めて見られることや体験されることであると思います。

 

 

 

 

「どうしたらいいのか?」と思った時は、ご自身で不安や悩みを抱えられずに、まずはご連絡してみてください。

これまで培ってきました経験をもとに、精一杯お応えさせていただきます!

些細なことでもかまいませんので何なりとお問い合わせください。

【お問い合わせ先】

ホームページからのお問い合わせはこちらからお願いいたします。

直通メールアドレス 0883@d2.dion.ne.jp からもご利用いただけます。

※返信にお時間がかかる場合もございます。

 

 

 

最後に、言い忘れていることがございます。

中板のお役目とは、亡くなられた方の戒名を彫ったり書いたりする板

と、紹介しておりました。

 

 

 

詳しい方はもうすでに気付いておられると思いますが、

今回の中板には戒名ではなく法名を書いております。

法名と言いましたら、浄土真宗さんです。

浄土真宗さんといえば、お位牌を使わないのが通例です。

 

 

 

浄土真宗さんでも、

「お住いの地域自体が宗派を問わずに回出位牌を使っているお土地柄」

という理由でお位牌を使われることもございます。

 

 

 

また、私が名古屋で修業をしていた折に、地元のお仏壇屋さんが話されていましたが、

名古屋や名古屋近郊では回出位牌を使う方が主流と言われていたことも記憶しています。

余談ですが、家業に入る前に名古屋の仏具問屋さんで6年間修業してました^^

 

 

 

今回のお客様の場合は、どういう経緯でお位牌をお迎えになられたかは分からないようでした。

 

 

 

ということで、訂正いたします。

中板のお役目とは、亡くなられた方の戒名(あるいは法名)を彫ったり書いたりする板

で、お願いいたします。

 

 

 

ブログを書いてる時に、このことを早めに書こうと構成に努めたんですが、

どうも上手く書くことが出来ずに最後の訂正と紹介となりました。

ブログ初心者ということでお許しください。

 

 

 

さて、6月も半分が過ぎましたね。

朝晩は涼しいような寒いような気候で、日中はとても暑いですね。

寒暖の差がありますので、体調管理にはじゅうぶんお気を付けてくださいね。

1週間の始まりです!今週も楽しく過ごしましょうね^^

合掌

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