逸品物

加茂定オリジナル、御仏をまつる荘厳用

三本脚盛物台一対(さんぼんあしもりものだいいっつい)

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盛 物台とは、仏に供えるお供物を盛る台のことです。肩にあたる部分の面取りの細やかさ、脚部分のかえし、そして、真円にする難しさ。木地彫刻に相当熟練した 職人技がうかがえます。塗りは、『妹塗』といい、朱と黒の混合した、赤みを帯びた茶色で、何ともいえない光沢を発しています。金は消し粉仕上げになってお り、繊細かつ優美な木地彫りを引き立てています。京都では、このような作品を「目に優しい」「ぎらつかない」「嫌味がない」と表現します。

木製五鈷型盛物台(もくせいごこがたもりものだい)

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五 鈷すなわち五つの鈷は、五智・五仏の象徴とされ、中央の中鈷、周囲の4本の脇鈷で構成され、連弁飾を特徴とします。五鈷杵や五鈷鈴のように、密教系法具に 取り入れられている型です。これは、五鈷の複雑で精緻な美しさ、連弁の決め細やかさなど、木彫技術の高さと美しさが目を見張る作品です。

六鳥型前卓(ろくちょうがたまえじょく)

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西 本願寺用の、本尊前に置かれる卓です。木地の浮き面仕上げ(板の表面が平坦ではなく、彫って面を浮き出させること)や木彫刻の透かし彫り、本地彫りの錺金 具、彩色の極細な筆使いなど、当時の最高技術を駆使して製作されたもの。明治43年の全国博覧会で金賞を受賞した作品。ちなみに透かし彫りの題材は、六鳥 と呼ばれ、『阿弥陀経』に描かれている浄土に棲むとされる6種類の鳥で、梅や菊など約束事にのっとった組み合わせで丹念に彫られている。

雪見型仏飯器台総魚々子彫御仏販 (ゆきみがたぶっぱんきだいそうななこぼりおぶっぱん)

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西 本願寺派で使用される、ご飯を供えるための器とその器をのせる台。台の脚部分に見られる複雑な木地彫りと浮き面仕上げは、実に手が込んだものです。総消 粉、総裏金仕上げが、上品で優美な雰囲気を強調しています。御仏飯(おぶっぱん)と呼ばれる、飯をのせる器は、魚々子彫りといういぼのようなものを、一つ ひとつ丹念に彫ることによって形づくられる技法(簡単なものは、いぼのようなものを数個打ち付ける方法)です。このお仏飯は、取り外しができるよう、脚部 分と皿部分がねじになっていますが、これは細かいところまで隅々魚々子彫りをほどこすためです。西本願寺の紋が入った漆塗りの箱は、御仏飯を運ぶ際の専用 の入れ物です。

八角雲形供筒(はっかくくもがたくげ 昭和初期)

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真 宗で用いられる供物台のこと。四角形・六角形・八角形があり、素木、銀箔・金箔押・彩色がある。最高級の木地が用いられ、特に、この作品では透かし彫りに その高度な技が証明されています。また、総消粉金が上品でまろやかな光沢を放ち、よりいっそうその評価を高めています。八角雲形供笥 はっかくくもがたくげ (昭和初期)

本地彫隅瓔珞(ほんじぼりすみようらく 昭和初期)

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隅 瓔珞とは、宮殿から吊り下げられる装飾物です。傘部分はすべて、銅の地金を地彫りしたものです。地彫りとは、金属の平面より文様・図柄を高く盛り上げ、立 体的な表現をする技法のこと。ここでは、金属の裏から叩き出すことにより金属を盛り上げて、模様を作り出す方法をとっています。瓔珞といわれる装飾部分は 糸鋸で一つひとつが手作りされ、また底部に付いている鈴など、現在では作り得ない技術がそこかしこに見られます。

魚々子彫見本 (ななこぼりみほん 昭和初期)

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魚々 子(ななこ)とは、金属の表面に細かい粟粒をまいたかのように見せる技法です。その名称は、それらが魚の卵を撒き散らしたように見えることに由来していま す。切り先の刃が細かく小円となった鏨(ななこ鏨)を金属板に打ち込みますが、その小円を作り出す鏨の刃は、1粒、2粒、3連粒、6連粒、また3×3粒、 4×4粒、5×5粒などのものがあります。なかでも、最も高度な技術を要するものが一粒魚々子で、魚々子を一粒ずつ乱れずに打っていく技は相当熟練した職 人技といえます。京都には、この魚々子を専門とする職人がいました。写真は、魚々子粒の大きさで、錺金具の印象が異なってくることがよく分かる見本です。 高肉彫りの間の地模様としても使われています。荒いものほど、一粒一粒の形にごまかしがきかず、また縦横乱れずに打っていくことは至難の技でもあります。